三つ子のような山があって、ちょうど真ん中の山の上に満月がかかっていた。
ちょうどその時、真ん中の山の上に月が登った時にね、そう言って交わした大事な約束があるんだ、(実際にはないのだけれど)そう思って先を急いだ。
そう思って先を急ぐ事が、何か希望のような気がして、私は歩き続けた。
つまり私にとって大事な事は約束が本当にあるかないかということではなく、そう思っていることで胸の中に生まれた希望のようなもの、その状態こそが大事だった。
バカバカしいと思いながらも、私は、ずっとそういう状態を大事にしながら山をおり、
ずっと抱えていた孤独とか、なぜか涙が出てくるときの事とか、そういうものがきれいな月の光に洗い流されたような気持ちで、町に辿り着いた。