「よるのきつね
文/小玉陽子 絵/わたなべいくこ」
よるのきつねはいつも泣いている
ぽっかり浮かんだ月をみて
いつもちろり ちろりと泣いている
そのうちあんまり泣きすぎて
なみだで目がふわふわ溶けて
やがてはまっ白にもやがかかったみたいに何もみえなくなるのです
するときつねは まるでからだが綿菓子につつまれたみたいにふわふわ浮かんできて
よるの空を飛ぶゆめをみる
ふわふわふわふわ
飛んで少しだけ お月さんに近づいたそんな気分になる
ふと気がつくと まわりはあかるくなっていて
いつの間にか草のうえでねていたきつねは
草の葉っぱのなかに とけるてまえのようなちいさな綿菓子みたいな目ん玉見つけるのでした
そして今日もまたあたらしい目ん玉が 顔にちゃんとふたっつついているのでした
※小玉陽子さんはお友達の女優さんで、舞台での活動などされてます。
文章がとても良かったので、絵を描かせていただきました。小玉さん、ありがとうございました!