「B5 クレヨン」
馬のいる風景について想う
木の下に馬がいたら、素敵だな。
一頭、
いや、二頭いて
仲良し
私は馬の背中に手をあててみる
人間よりずっと体温が高くて、でも汗ばんでなどなくて、
人間みたいにふにゃふにゃ顔が気持ちで波打たなくて、
でもやさしくて、
それから草に寝そべって、空の一部分に大きく広がった布団みたいな雲の腹に、当たる光の色が変わるのをずっと見ている。
馬はこっちにはこないんだけど、気配が分からなくなるほど遠くへは行かない。
今は都会に住んでいて、優しい友達と、朗らかな家族と、仕事に恵まれて生きてる。
ある日美術館で、森の中で焚き火にあたる二人の猟師の絵を見た。
自分の中の、忘れられていた「丸で絵になってしまったかのような」
子供の頃田舎で過ごした風景が体の中でぐらぐらと震える。
木の下に馬がいたら、いいな。本当に。